貸付」や信用保証協会による「緊急保証制度」の利用枠拡大打開の鍵は経営情報の開示このような借入れ環境が続けば中小企業の資金繰りに支障をきたすため、政府は、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」や信用保証協会による「緊急保証制度」の利用枠拡大などを行っています。
しかしこの施策は、あくまで借入れ環境を下支えするための一時的な措置です。この間に、中小企業は未来を見据えた行動を起こす必要があります。自社の経営改善の他、金融期間との関係性を見直す機会と捉えることも必要です。
長期的にみれば、金融機関にとっても中小企業向け貸出しが重要な市場であることは確かです。
株式や債券の暴落により、有価証券による資金運用の危険性が再認識され、このような金融商品の販売による手数料収入もあまり期待できません。債権市場の収縮という、一時的な状況下での大手企業への貸出しも、今後継続的に伸びが期待できる分野ではありません。
金融機関としても中小企業との関係をこれまで以上に強化したいと考えています。
こうした金融機関の事情を理解すれば、受け身ではなく、中小企業自ら積極的に金融機関との関係を強化する姿勢が必要と思われます。
具体的な取組みとして、自社の業績や財務内容といった経営情報を積極的に開示することです。経営情報をよく開示している企業ほど、スムーズに借入れできるケースが多くなっています。決算書や確定申告書を継続的に開示することは、情報の非対称性を緩和することに繋がります。希望どおりに借入れをしたい企業側にも、中小企業向け貸出しを増やしたい金融機関側にもメリットがあるといえます。
なお、財務内容を外部に示すとなると、経営者はより良い業績を残したいと考えるだけでなく、収益を左右する様々な数字に神経を使います。
こうした中で、営業面での弱点や事業を運営する上での非効率な部分に気付き、改善策を練ることにもなります。
また、経営を改善するための支援を金融機関から得られる可能性もあります。
金融機関としても、取引先が健全な経営状況を維持することが望ましいと思っています。
企業側から定期的に情報開示があったほうが、課題がどこにあるのか、どんな助言や情報が必要かなどを的確に把握できます。このようなことから、企業も金融機関を単なる借入先と考えるだけでなく、経営指導やアドバイスを受ける先と捉えることが大切です。